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北海道の赤飯はなぜ甘納豆?考案した南部明子さんと戦後に全道へ広まった経緯【小豆派vs甘納豆派】
ニュース・コラム2026-08-22

北海道の赤飯はなぜ甘納豆?考案した南部明子さんと戦後に全道へ広まった経緯【小豆派vs甘納豆派】

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北海道のお祝いの席で出てくる赤飯は、ピンク色で、甘い。中に入っているのは小豆ではなく甘納豆で、上にはごま塩。道外の人が初めて食べると「これはお菓子?」という顔をしますが、道民にとっては誕生日や入学式、お祭りの日に食べてきた、まぎれもないお赤飯です。

この甘納豆の赤飯、実は昔からの郷土料理ではありません。ひとりの女性が考案し、戦後に北海道中へ広めた、出どころのはっきりした食べ物です。誰が、なぜ、どうやって広めたのか。そして道内でも割れている「小豆派か甘納豆派か」問題までまとめます。

北海道の赤飯は「甘納豆+食紅+ごま塩」

作り方は本州の赤飯とまったく違います。もち米(うるち米を混ぜる家庭も多い)を、食紅で薄いピンク色に染めて炊き、炊き上がりに甘納豆(金時豆の甘納豆が定番)を混ぜる。仕上げにごま塩をふる。小豆を煮てゆで汁で色を付ける本州の方法に比べて、圧倒的に簡単で、前日からの準備がいりません。

味は、ほんのり甘いご飯に、甘納豆の甘さと、ごま塩のしょっぱさ。この「甘じょっぱさ」が道民の言う赤飯の味で、ごま塩を忘れると「何か違う」と言われます。

考案したのは札幌の料理研究家・南部明子さん

甘納豆の赤飯を考案したのは、札幌の料理学校「光塩学園」の創設者・南部明子さんです。光塩学園は、1948年に旭川で始まり翌年札幌に移った南部服装研究所を前身とする学校で、南部さんは料理や家政の指導者として知られていました。

きっかけは「誰でも、簡単に、おいしいお赤飯を作れるようにしたい」という発想。小豆を煮るところから始める赤飯は手間がかかり、忙しい主婦には重荷でした。そこで、最初から甘く煮てある甘納豆を使い、色は食紅で付ける——時短で失敗しない赤飯を考えたのです。

南部さんは昭和20年代後半から30年代にかけて、講演会やラジオ、テレビの料理番組でこの作り方を繰り返し紹介しました。講演の翌日には、その町のお菓子屋さんの甘納豆が売り切れたという話が伝わっています。簡単で、子どもが喜び、前日の準備がいらない。主婦の支持と子どものリクエストで、甘納豆の赤飯は家庭に浸透し、やがて全道に広がりました。後にサザエ食品が商品化したことで、店頭で買えるものにもなっています。

つまり北海道の甘い赤飯は、戦後に人の手で広まった食文化です。北海道の「甘い味付け」には、道南の栗入り茶碗蒸しのように古くからの郷土料理として残ったものと、こうして近年に広まったものの両方があります。茶碗蒸しの話は北海道の茶碗蒸しはなぜ甘い?にまとめています。

なぜ北海道に根づいたのか

  • 開拓地の合理性。北海道は各地からの移住者でできた土地で、「こうでなければならない」という料理の縛りが弱かった。簡単でおいしければ受け入れられた
  • 甘いもの=ごちそう。砂糖が貴重だった時代の「ハレの日は甘く」という感覚が、甘い赤飯を自然なものにした
  • 広めた人の影響力。料理学校の創設者が、講演とメディアで繰り返し伝えた。口コミではなく、教育として広がった

なお、甘納豆を使う赤飯は北海道だけではなく、山梨県の一部にも見られます。ただし全域に広がって「赤飯といえばこれ」になっているのは北海道が際立っています。

道内でも割れる「小豆派 vs 甘納豆派」

北海道の全員が甘納豆派というわけではありません。本州から移ってきた家庭や、仕出しの赤飯は小豆のことも多く、「うちは小豆だった」という道民も普通にいます。職場で聞くと甘納豆派が多数、というのが実感に近いところです。

いまはスーパーやデパ地下、セイコーマートやセブン-イレブンのおにぎりコーナーでも甘納豆の赤飯が買えます。旅行中に見かけたら、ひとつ買って「甘じょっぱさ」を確かめてみてください。

家で作るなら

  1. もち米1合とうるち米1合を合わせて研ぎ、普通の水加減にする
  2. 食紅は水に溶いてから少量加える(粉のまま入れるとムラになる)。薄いピンクが目標
  3. 炊き上がったら、軽く水で洗った甘納豆(2合で80gほど)を混ぜて少し蒸らす
  4. 食べるときにごま塩。これが無いと北海道の赤飯になりません

よくある質問

Q. 北海道の赤飯はいつから甘納豆なのですか?

昭和20年代後半から30年代に、札幌の光塩学園創設者・南部明子さんが考案し、講演やメディアで広めたのが始まりとされています。古くからの郷土料理ではなく、戦後に広まった食文化です。

Q. 甘納豆は何の豆ですか?

金時豆の甘納豆が定番です。小豆の甘納豆や、うぐいす豆を使う家庭もあります。

Q. 道外の人に出しても大丈夫ですか?

「赤飯は塩味」と思っている人には驚かれます。「北海道の赤飯は甘納豆が入っていて甘い」と一言添えてから出すと、話のタネになります。

Q. 札幌で買えるところは?

スーパーの惣菜コーナー、デパ地下、コンビニ(セイコーマート・セブン-イレブンなど)のおにぎりコーナーで通年見かけます。お祝いの日や春の入学シーズンはとくに並びます。

※ お出かけ・お手続きの前にご確認ください
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北海道の和菓子文化については【北海道の和菓子】札幌で子供の日に食べたいべこ餅・柏餅も。光塩学園の歩みは光塩学園調理製菓専門学校「歴史・伝統・挑戦」に。

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