
美唄やきとりはなぜ一串に全部刺さっているのか|炭鉱の町で生まれたモツ串と、決着しない「元祖」の話
一串に、鶏のいろんな部位が全部刺さっている
美唄のやきとりを初めて見た人は、まず串の見た目に驚きます。下から皮、玉ねぎ、レバーや砂肝などのモツ、また玉ねぎ、いちばん上にモモ肉。一本の串の中で、部位がどんどん変わっていくのです。
美唄観光物産協会は、この串の特徴を「レバーやハツ、砂肝、キンカンなどのモツと、鶏皮、モモ肉が、全部刺さっていること」と説明しています。農林水産省も、鶏の皮や内卵、内臓などさまざまな部位と玉ねぎを一つの串に刺して焼いたもの、と紹介しています。いわば一串で鶏のいろいろな部位を少しずつ味わう焼き鳥です。
味付けは塩こしょう。甘いタレではなく、素材の味で食べるやきとりです。
なぜ長ねぎではなく玉ねぎなのか
焼き鳥の「ねぎま」といえば長ねぎですが、美唄の串に刺さっているのは玉ねぎです。
理由は農林水産省がはっきり書いています。周辺が玉ねぎの産地で、長ねぎよりも安く、質の良い玉ねぎが手に入ったから。北海道らしい、とても素直な理由です。
ちなみに、同じ北海道の室蘭やきとりにも玉ねぎが刺さっています。こちらも「長ねぎより道産の玉ねぎのほうが安く手に入る」という同じ理由です。
始まりは炭鉱の町。捨てていた部位から生まれた
美唄の東部は、かつて全国でも有数の炭鉱の町として栄えました。
農林水産省によると、美唄やきとりが生まれたのは昭和30年ごろ。市内でやきとりの屋台を営んでいた三船福太郎さんが、当時のやきとり店が捨てていた内臓や皮を「もったいない」と考え、串に刺して売り出したのが始まりとされています。安くて食べごたえのある串は、炭鉱で働く人たちに人気になりました。美唄観光物産協会も「炭鉱マンのスタミナ源」と紹介しています。
一串に全部刺さっているのは見栄えのためではなく、余すところなく使うという成り立ちから来ているわけです。
「元祖」は、実はひとつに決まっていない
ここが美唄やきとりの面白いところです。どこが元祖なのか、資料とお店の言い方が一致していません。
- 農林水産省:昭和30年ごろ、屋台を営んでいた三船福太郎さんが考案
- 美唄観光物産協会:昭和30年ごろ「三船」という店で誕生し、市内のいくつもの店に受け継がれた
- 福よし(公式サイト):「元祖美唄やきとり」を名乗り、美唄でいちばん古くから営む老舗と紹介
- やき鳥たつみ(公式サイト):昭和43年(1968年)創業で、現在もっとも古く開業している老舗と紹介
公的な資料は三船を発祥としていますが、福よしは「元祖」、たつみは「もっとも古い」とそれぞれ書いています。どれが正しいかを決められる公式な資料は見つかりませんでした。この記事でも、どこか1軒を元祖と決めることはしません。長く受け継がれてきた串だからこそ、名乗りたいお店がいくつもある、と受け取るのがいちばん楽しい読み方だと思います。
しめは、かけそばにやきとりを入れる
農林水産省が「美唄流」として紹介している食べ方があります。しめに「かけそば」を頼み、その中にやきとりを入れるというものです。ラーメンではなく、そばなのがポイントです。
また美唄観光物産協会によると、注文は10本単位が普通。1本ずつ頼む文化ではないので、最初から本数をまとめて頼んで大丈夫です。
札幌から車で行くなら
美唄へは、札幌から道央自動車道で北へ向かい、美唄ICで降ります。日帰りしやすい距離ですが、車で行く人には注意が2つあります。
ひとつは、やきとりのお店は夕方からの営業が基本だということ。もうひとつは、運転する人はお酒が飲めないことです。美唄のやきとりは持ち帰りもできるので、「買って帰って家で食べる」を最初から計画に入れておくと安心です。
福よし 美唄本店
- 住所:美唄市西1条南3丁目2-16(電話 0126-63-3451)
- 営業時間:火〜日曜 16:00〜21:00(L.O.20:30)/月曜はテイクアウトのみ
- 持ち帰り:13:00〜20:00(L.O.19:30)。前日の電話予約もできます
- アクセス:道央自動車道・美唄ICから市街地へ
- 駐車場:公式サイトでは確認できませんでした。お店にお問い合わせください
- 公式サイト:福よし(公式サイト)
やき鳥たつみ
- 住所:美唄市西1条南1丁目1-15
- 定休日:毎週火曜日(祝日は営業)。火曜以外にも休みの日が公式サイトのお知らせに出ることがあります
- 営業時間・駐車場:公式サイトに記載がありません。訪問前にお店へご確認ください
- ひとこと:昭和43年創業。平成元年から、全国で初めて焼鳥の地方発送に取り組んだと公式サイトで紹介しています
- 公式サイト:やき鳥たつみ(公式サイト)
よくある質問
Q. 美唄やきとりの元祖はどこですか?
農林水産省と美唄観光物産協会は「三船」を発祥としていますが、福よしは「元祖」、たつみは「もっとも古い老舗」を名乗っていて、ひとつに決まっていません。この記事ではどこか1軒を元祖とはしていません。
Q. 室蘭やきとりとは何が違いますか?
美唄は鶏の皮・モツ・モモを一串に刺して塩こしょうで食べます。室蘭は豚肉を使い、甘めのタレと洋がらしで食べます。玉ねぎを使う点はどちらも同じです。
Q. 1本から注文できますか?
美唄観光物産協会によると、注文は10本単位が普通とされています。細かい頼み方はお店ごとに違うので、その場で確かめてください。
Q. 車で行って飲めないときは?
持ち帰りを利用するのがおすすめです。福よし美唄本店は13:00から持ち帰りに対応していて、前日の電話予約もできます。
まとめ
美唄やきとりは、炭鉱の町で「もったいない」から生まれた、一串に鶏のいろいろな部位が刺さったモツ串です。玉ねぎを使うのは産地だから、しめはかけそば、注文は10本単位。そして元祖は、いまもひとつに決まっていません。夕方の営業に合わせて、持ち帰りも計画に入れて出かけてみてください。
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公式情報:農林水産省「うちの郷土料理」美唄やきとり 北海道/美唄観光物産協会/福よし公式サイト/やき鳥たつみ公式サイト(2026年9月時点)。
※ お出かけの前にご確認ください
掲載している内容は執筆時点(2026年9月)の情報です。営業時間・定休日・価格は変更されることがあります。ご来店の前に、公式サイトやお店へ直接ご確認ください。




